便秘を定義してみる

私の場合は「定義する」なんて必要ないくらい慢性便秘なのですが、一般的に「あなた便秘です」と断定(?)されるのは一体どんな状況なんだろうか……とふと気になりました。数日間お通じがない、これすなわち便秘と定義されて、治療なり何なりが必要なのかどうなのか。調べてみるとそれ程簡単に断定できちゃうものでもなさそうなことがわかりました。

そもそも「定義」とは

「定義」とは簡単に言い換えれば世間一般的な「共通認識」ではあるのですが、この共通認識が個々で微妙に違う……ということは数多くあると思うのです。そして便秘もそのひとつ。排便回数や量、感じ方は人それぞれ違うので「週○回以下しかお通じがなければ便秘です!」と断定することはとても難しいようです。

……とは言え、難しいながらも一応国際的な団体、そして日本の団体は「慢性便秘の定義」をしています。

 

各学会が提唱する「便秘の定義」とは

Rome III基準

国際的に提唱されているのは「Rome III基準」と呼ばれる、以下の定義です。これは機能性消化器疾患の国際的部会で決定されたものです。

  • 週に3回未満しかお通じがない
  • 4回の排便中1回以上は便が硬い
  • 4回の排便中1回以上は摘便(指や綿棒、ヘラなどでかき出すこと)が必要
  • 4回の排便中1回以上は強くいきまないと出ない、更に残便感がある

慢性便秘とされるのは、上記の症状が半年程前から現れ、3ヶ月間以内で基準を満たしている場合です。

対して日本の内科学会、消化器病学会の定義はこんな感じ。

日本内科学会

  • 3日以上排便がない。もしくは毎日あっても残便感がある状態

日本消化器病学会

  • 排便回数が数日間に1回程、また間隔が不規則。更に便が硬い場合

Rome III基準に比べると、日本の学会の定義はかなり大まかだと思いませんか?これはやっぱり「便秘」という状態が十人十色であり、ガッツリとひとまとめに括れないからなんでしょうね。

 

便秘とは結局どういう状態なのか考えてみた

Rome III基準、日本内科学会、日本消化器病学会、これら3つの定義から考えると慢性便秘とは以下の状態と言えるのではないでしょうか。

排便回数が少ない

腸内環境が整っていて、腸の蠕動運動も正常である場合、排便は1日1回されるものだそうです。これは食べたものが消化吸収され、うんちとなって直腸に到達、排便されるまでの時間が24時間かかるとされているから。便の内訳(というのも何だかヘンですけど)は水分が80%。残りの20%のうち1/3が食べ物のカス、1/3が生きている腸内細菌、1/3がはがれた腸粘膜と言われています。

そして重要なポイントのひとつと言えるのが水分です。水分吸収が充分にされることなく大腸を素通りし、早く排出されると水分が多い軟便、もっと早いと下痢となるのです。そして反対に、大腸の通過に時間がかかり、遅くなると水分が吸収されて便は硬くなります。すると排出するのに苦労する、便秘のうんちになってしまいます。

便が硬い

便が硬いのは便秘の症状のひとつとも言えます。口から入った食べ物は食道、胃、十二指腸、小腸、大腸を抜け、肛門から排出されていくのですが、大腸を抜ける時間がかかればかかるほど、便は硬くなっていくのです。体の中に入った食べ物は消化吸収され、大腸に到達するときにはほぼ液体の状態。これが水分吸収されずに大腸を素通りしたら、水のような状態の便が出てきます……所謂下痢ですね。反対に大腸をゆ~っくりと時間をかけて進むと、時間とともに水分がどんどんと吸収されていって硬い便になるのです。

排便はあるものの残便感がある

「なんかまだ全部出切ってないような……」と感じるのが残便感。でも残便感にも実際に便が腸に残っている場合と、もう残っていないのに「まだある」と感じる場合の2種類があるようです。

便秘によくある残便感(実際に便が残っているとき)の原因とは:

  • 腸内にポリーブやがん、もしくは子宮筋腫など便が通過しにくい障害がある
  • 蠕動運動を起こす筋力の低下
  • 痔の痛みや排便姿勢の悪さから、排便時にしっかりといきめない

反対に残っていないのに残便感を感じるのは、直腸の感覚過敏や神経障害などが原因で「便が残っている」と錯覚してしまう場合のようです。

 

上記のように体の仕組み上、正常な排便は1日1回と言われてはいますが、排便回数よりも重要なのは「便が硬い」「排便はあるものの残便感がある」のような気がします。

極端に言えば、例え週2回しかお通じがなかったとしても、毎回適度な硬さのバナナうんちがするんっとスッキリ全部出てる!という状態であれば、それは便秘ではないんじゃないかと思うんですよね。

このことから、つい最近の妹と私の健康な便秘議論が思い出されます。

妹も回数は少ないけれど、適度な硬さの、よい形状のウンチがスルリンとでるわけで、快便を主張していました。反対に毎日出るには出るけれど、硬くてコロコロしていて、がんばっていきまないと出てこない。更には「まだ絶対残ってるでしょ」と残便感がある……

こんな状態であれば、それは「程度はひどくないけど便秘」と言えるのではないでしょうか。

健康な便秘とは

「健康な便秘」とは・・・

いやいやいや、そんなもの、この世に存在しないでしょ、と思いますよねぇ。でもまあ、そこをこらえてちょっと聞いて欲しいのです。先日私同様、かなり頑固な便秘持ちの妹が「最近調子いい!」と言い出した時に考えたことのなのです・・・が「健康な便秘」、あるような気がしてきたのです。その、新たな発見のお話をしたいと思います。

便秘持ちの妹が語る「調子がよくなってきた」とは

「最近お通じの調子がいいんだよね~」と妹。

新しく始めた乳酸菌サプリや食生活をどう改善しているのか、便秘対策について一通り語り終わったあと、ポロリとこう言ったのです。

「4日に1回ちゃんと出るんだもん。改善してると思わない?」

4日に1度?!それって世間一般ではリッパな「便秘」って言われるんじゃないの?!

何せ機能性消化器疾患の国際的部会が定め、国際的な便秘定義と言われるRome III基準では「排便回数が週3回未満」と言われているんですよ。さらに、日本の学会でも「3日以上排便がない場合」「排便回数が数日間に一回程」と定義されています。

これら便秘の大御所が出している<回数的な側面からみれば>、4日に一度では完全にアウト。バッチリ便秘カテゴリーに入ってしまうのです……と私は思うのです。

でも妹曰く。

「そりゃ回数は少ないけど、いきまなくてもするっと、ちょうどいい形の便が出るんだよ!それに残便感もないし、おなかスッキリ!大事なのは回数よりも、1回1回の『質』でしょ!!」

うーむ。これってかなり的を得ているような気が……。

 

便秘の定義を当てはめてみる

そこで、先ほどお話しした、3大便秘の大御所、グローバルスタンダード的(笑)Rome III基準、そして日本内科学会、日本消化器学会が出している「便秘の定義」を、妹と私で当てはめてみることにしました。

ちなみに、お医者様は便秘の患者さんを診察される際、これらの定義を参考に、症状を総合的に鑑みて、診断するようです。

それでは、まずは妹の状態が便秘の定義に当てはまるのかどうかと言えば:

  • 排便回数が少ない
    → YES。4日に1回
  • 排便間隔が不規則
    → NO。4日に1回と少ないが、定期的なペースでお通じがある
  • 便が硬くて、いきまなくては出ない
    → NO。毎回するっとラクに出る
  • 残便感がある
    → NO。排便後はおなかスッキリ!

4項目中、3つがNOで当てはまらず。ん~、これって「便秘」と診断されるのでしょうか?

それに対して私の場合は:

  • 排便回数が少ない
    → YES。3日に1回程度
  • 排便間隔が不規則
    → YES。2日に1回出た、と思ったら次のお通は4日後と不規則
  • 便が硬くて、いきまなくては出ない
    → YES。毎回がんばらないと出てきてくれない
  • 残便感がある
    → YES。なかなか「全部出たぞー!」とはいかない

これはもう便秘100点満点じゃないですか(泣)

妹と私の実例を比べ・・・思ったことは、重要なのは排便回数の多寡ではなく、「量より質」ではないかと。便秘が原因となる体調不良を避けるために大切なのは「出し切ること」ではないか、ここが重要だと気づいたのです。

便秘は健康に悪影響を与えます。だから、便秘を改善しようとすることは、健康になろうとすること。それなら一般に定義されていることに若干当てはまらなくても、妹のようにすっきり排出、残便感ナシは、日数の面では便秘でも、健康面(精神と肉体)では便秘に入らないのでは…そう思えてきたのです。

 

そもそも便秘の何がいけないのか?

おなかが張って痛くなったり、残便感があって不快だったりという「何となく不調」ということ以外、便秘はなぜよくないのでしょうか?それはやはり「出すべきものを出していない」ということに尽きるようです。

通常は24時間で排出されるはずの便が長時間体内に残っていると、腸内環境に悪影響を与えるのです。乳酸菌は善玉菌のエサとなりますけど、おなかにたまった便は悪玉菌を増殖させるエサとなります。すると発ガン物質、発ガン促進物質、アンモニア、硫化水素などの有害物質発生のキッカケとなるのです。そしてこの状態が続くと有害物質は腸壁から吸収され、血液中を通って全身をかけめぐるのです……

怖!!毒素が回ることで肌荒れはもちろん、色々な病気の原因にもなりうると考えられています。

そして更に便秘がひどくなり、便が直腸で溜まって固まってしまうと「便塞栓」と呼ばれる症状に……。これはカチンコチンに固まった便の塊が肛門を塞いでしまう、いわゆるー「糞詰まり」ってやつですね。しかし、これにもまた個人差があるようです。

毎日お通じがあっても糞詰まりになってしまう人もいれば、1週間便秘でもならない人もいるとか。これはやはり腸内環境や蠕動運動を起こす筋力などが関係しているのではないでしょうか。

 

便秘を避ける理由が、良好な腸内環境を保つためならば

妹の場合、4日に1回ながらもお通じがスムースで、かつ定期的にある状態です。もちろん腸内環境の善し悪しは便を調べなくてはわからないことです。(悪玉菌優勢なのか、善玉菌優勢なのか。腸内環境は便を調べることでわかります)

「定期的に」「スルッと」「残便感なく」出ているのであれば、善玉菌優勢の腸のように思えます。そうなると4日に1回の排便でも全然問題ない。強いて言えば、これはまさしく「健康な便秘」と言えるのではないでしょうか。

 

妹と二人、検便をして腸内環境がどうなっているのかを調べてみたいと最近真剣に考えています。マジですよ。だって、4日に1回でも善玉菌優勢な腸内環境であれば「健康な便秘」の存在を証明することができる!!

……もちろん、自分の体で証明できればそれが一番いいんですけどねぇ(タメ息)